指導要綱

 

序章

子どもたちがスポーツをする意義

人は運動能力的に全く未熟な状態で生まれてきますが、月日とともに自然に這い、立ち、歩き、走ることさえできるようになります。この自然な発達に対して、スポーツを通していろいろな運動をすることはたいへん良い刺激となり、さらに巧みな動き、粘り強い動き、力強くたくましい動きを習得することができます。
期待される好ましい変化は身体面だけではなく、忍耐力、向上心、友情、思いやり、協調性、責任感、正義感、相手を敬う気持ち、礼儀や挨拶といった精神的な成長、社会性を身につけることなどがあります。

なぜラグビーなのか

それではなぜ私たちは数あるスポーツの中でラグビーを選び、子どもたちに指導しようとするのでしょう。
ラグビーは多人数のボールゲーム、しかも格闘技の要素も含み、多種多様な運動を要求され、心身の健全な発育、発達にとってたいへん適したスポーツだからです。
そしてなによりも「ラグビー精神」というものがあります。ラグビーに携わってきた者がその素晴らしさを語るとき、そこにはラグビー精神という言葉で交わされる魔法とも思われる共通理解があります。ラグビーを指導する者は、この精神を次世代に伝えていく義務と責任を持っているのです。

第一章 指導の目的

ラグビーを通じてスポーツの楽しさ、厳しさを学び、健康で明るい立派な人間として成長させる。

第二章 指導方針

  1. ラグビー精神を身につける
    • フェアプレイの精神
    • ALL FOR ONE,ONE FOR ALL
  2. 心身の健全な発達、発育を図る

 

第三章 指導の基本原則

  1. 楽しくなくてはいけない
  2. すべてのプレーヤーにすべてのスキルを
  3. 子どもには子どもにあった感動を
  4. 勝利至上主義には陥らない
  5. 自分の指導する子どもにあったラグビーを

第四章 学年ごとの指導目標

  1. 幼児、低学年
    • 仲間と楽しく簡単なゲームができる
    • スポーツに親しむ態度を育てる
  2. 中学年
    • ポジショニングを含め、組織的なゲームができる
    • フェアな態度を育てる
  3. 高学年
    • ミニラグビーの完成
    • フェアプレイの精神を理解する
  4. 中学生
    • ジュニアラグビーへの発展
    • ラグビー精神を身につける

第五章 指導者心得

  1. 練習前の準備
    • 計画を持て
    • 笛を持て
    • 服装に注意しろ
    • ボールに気を配れ
    • 時間を厳守せよ
    • 安全への配慮を怠るな
    • プレーヤーの名前を覚えろ
    • グラウンド、用具の準備を怠るな
  2. 練習中の注意
    • コントロールしろ
    • 叱るよりほめろ
    • 立つ位置を考えろ
    • キーファクタを示せ
    • 示範を示せ
    • オーバーコーチングを控えろ
    • フィードバックを与えよ
    • しゃべるときの環境に注意し、声をうまく使え
    • 正確さを優先しろ
    • 左右両方を練習させろ
    • ゲーム形式の練習を工夫しろ
    • 子どものレベルに合わせろ
  3. 練習後の反省
    • 自分自身で謙虚に反省しろ
    • 反省を次回の練習に活かせ
  4. 試合での態度
    • 相手側の指導者、レフリーと事前に話し合え
    • レフリーへの尊敬と感謝を忘れるな
    • 相手に対する尊敬を忘れるな
    • すべての子どもを出場させろ
    • タッチラインウォーカーになるな
    • 謙虚な勝利者、威厳のある敗者たれ

 

小学生期に育てたい力(「ルール改定について、J.R.F.U.竹本氏記述」より抜粋)

 

(1)心

  1. フェアプレー
  2. 相手とレフェリーに対しての感謝
  3. 勝敗に対して望ましい態度
  4. その他(ラグビーが好きになる等)

(2)ボディーコントロール能力

  1. 相手に対して
  2. ボールやラインに対して
  3. その他(方向感覚、逆さ感覚等)

(3)判断力

  1. 広い視野
  2. 攻撃側での判断力
    • ボールを保持しているとき
    • ボールを保持していないとき
  3. 守備側での判断力